古書店の賢い活用法

本を安く買うには

妻 「また宅配便だわ。何か買ったの」

夫 「うん、amazonで本買ったんだ。安かったんだよ。一冊一円」

妻 「でも送料かかるんでしょ」

夫 「そう、店によって違うけど、だいたい三百円前後だね」

妻 「amazonの本の送料ってさ、同じ店で買っても、冊数分取られるんだよね」

夫 「良く知ってるね。そうなんだ。三冊買えば、同じ店でも千円近く送料がかかるんだ」

妻 「何買ったの、見せて・・・なあんだ、東野圭吾じゃないの。こんなのさあ、わざわざネットで買わなくても、町の古書店で十分だと思うけど。アナタの通勤経路にあるでしょ、BOOK・OFFが」

夫 「ああ、そういや、駅前にあるなあ。商店街には昔からの古本屋もあるし」

妻 「東野だの道尾だの宮部だの、今の流行作家の文庫本なら、一冊百円(税抜き)で売ってるよ。最新作にこだわらなければ、あれで用が足りるんじゃないかな」

夫 「そうか、そうだよな。通勤途中の店なら交通費かからないから、送料を負担するより安いし。一回読んでオシマイってものなら、百円本でいいものね。でも、昔からある古本屋はダメだね、使えないや」

妻 「最近行ってみたの、古本屋さんに」

夫 「いや、もうずいぶん長いこと行ってないね。でも何となくわかるよ、いつもホコリかぶってて、気難しそうなバーサンが奥のカウンターに腰掛けてて」

妻 「ううん、かなりのステレオタイプだなあ。どこもそんなのってわけじゃないよ。BOOK・OFFと同じく百円本はあるし、店によってはそれがさらに割引になってたり、まとめ買いすれば安くしてくれたり、いろいろだよ。神保町あたりまで行けばさ、時代小説百円とか、新書百円とか、いろいろやってて楽しいんだから」

夫 「ネットが必ずしもお買い得ってこともないんだな」

妻 「そうだね。さっきは現代作家の名前を挙げたけど、漱石ぐらい国民的人気作家なら、昔の作品でも普通に売ってるよ。本格的なものはないと思うけど、メジャーな作家であれば、お手軽な古書チェーン店である程度用が足りちゃうんだよね。送料込みだとどっちが安いか迷う場合は、実店舗で販売価格をメモするなりして控えといてさ、その場でamazonとかの古書サイト開いて比較すればいいんだよ。そうすれば、最適価格で購入できるから」

 

いい本を手に入れるには

夫 「流通量の多い本はそれでいいんだけどさ、マニアック、っていうか、BOOK・OFFあたりじゃまず扱ってないなってのがあるだろ。こういうのはどうかな。漱石はあるって言うけど、鴎外、藤村だと、代表作がちょろっと置いてあるぐらいなんだよね」

妻 「そうだね。たまあに掘り出し物を見つけることもあって、それはそれで楽しいんだけど、見つかる確率は低いから、効率のいい買い物とは言えないね」

夫 「特に学術系なんかはBOOK・OFFじゃ全くと言っていいぐらいダメだな。やっぱネットかな」

妻 「そうだね、でもネットの場合、気を付けないと、古すぎて読めなかったりすることがあるんだよね。発行日が昭和二十年以降、つまり戦後であっても、まだしばらくは歴史的仮名遣いなんだよね。復刻版だと、日付は新しいけど中身は明治時代のままとかいう場合もあるし。いちばんいいのは、実店舗か図書館で現物を確認してからネット検索すること。そうすれば確実だと思うよ」

夫 「著作がおおい人の場合、時系列的に読み進めていきたいことなんかあるじゃない。そんなとき、ネット検索だと膨大な種類が一度に出て来て、どれがどれだかわかんなくなったりするんだけど」

妻 「そうだね、同じ本でも、改訂版があったりほぼ完全リメイクされてたり、見分けつきにくいのもあるものね。そんなとき、アタシはさ、【ウィキペディア】のお世話になることにしてるの。著者名で検索したら、著作が発表順に並んでるの。それも、単著・共著・編著・訳書っていうふうに分類されてるから、とても助かるわ。例えば安部公房全集みたいに、全作品が収録されてる全集があればいいけど、そういうのは稀だからさ、ウィキを活用したらいいと思うよ」

 

ネットショップと実店舗をうまく使い分けるには

夫 「ネットで楽に見つかるのはとても助かるんだけどさ、本って、足引きずって捜し歩くのが楽しいって時もあるよな」

妻 「まあ、時間との相談だよね。ホントに丸一日めいっぱい本探しに使えるならそれもいいけどさ、お休みも限られてるし、それに第一、捜し歩いたからって、必ず見つかるとは限らないしね」

夫 「そこなんだよなあ。古本屋巡りってさ、すごく楽しいんだけど、成果が無かったときは空しいもんな。ああ、amazonにしときゃよかった、なんて」

妻 「神保町ぐらい大規模な古書店街だと、在庫のWEB検索もできるけど、WEBで見つからなくて実際行ったらあった、なんてこともあるし。ネット専業のサイトほど緻密じゃないんだよね。難しいね」

夫 「時間がもったいないと思うようなら、はじめからネットにしとくのが無難だろうな。でもさ、ネットでも困ることがあって、特に複数本の場合だよね、上中下とか、全五巻とか。こういうのって、amazonやyahooだと、バラバラでしか買えなかったりして、結局高くついちゃったりするんだけど」

妻 「そういう時、アタシは【日本の古本屋】ってサイトを活用してるよ。二十代の頃、『神谷美恵子著作集』全巻をここで買ったの。全集はこのサイトが確実だと思うな。たくさんのお店が出品してて、中からいちばん安いものを選べるからね。中には全巻そろってないのもあるんだけど、その場合必ず「○巻欠」とかコメントがつくの。便利なサイトだよ。ヤフーオークションもいいけど、会費かかるでしょ。【日古】はタダだからさ」

夫 「なるほど。でもさ、全巻中、一冊だけ持ってて、それ以外が欲しい場合なんかもあるだろう。そんな時は」

妻 「それはamazonだね。バラで集めるといいよ」

夫 「結局さ、ネットと実店舗と、どれだけうまく使い分けられるかってことかなあ」

妻 「そうだね、本に限らず、だいたいどんな商品もそうじゃないのかな。消費者も複眼を持ってなきゃダメなんだね」

(了)

執筆者註:当サイトは販売サイトへのリンクを貼りません。本文中にでてきたWEBサイトに興味を持った方は、お手数ですがご自身で検索してください。

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