まじめに生きたから、報われる。

『まじめに生きても、報われない』から、本記事へと続いています。まずは前記事を先にお読みください。

 

 

問う人「正直者が損をする、というのは昔からあることですから、今さらどうのこうの言ってもしかたないようにも思えますね」

知る人「そうだな、まずここではだな、病気や感染症・不慮の事故や災害といった、不可抗力に属する出来事は除いて考えることにしよう。これらを含めると、運命論や宗教思想にまで広がってしまうからね」

問う人「なるほど。では、人知の及ぶ範囲ということですね」

知る人「成功者は人一倍努力した、不成功者は努力が足らん、などと言う者もあるが、ことはそう単純ではあるまいね。前回に少し話したが、今は市場万能の時代だ。ここ掘れわんわん、ではないが、どのあたりに金脈が埋まっているか、誰よりも早く気づき、掘り当てた者が勝つ。平たく言えば、ゼニの匂いに敏感かそうでないか、ということになろう。ああ、ひとこと断っておくが、金儲け批判ではないからね、これは」

問う人「誰だってお金は必要ですものね」

知る人「そうだ。世の金持ち批判のほとんどは、野次馬的やっかみに過ぎん。金が欲しけりゃ努力しろと私は言いたいね。ここではそんな話をしたいのではない。まじめに生きても報われぬ、それはなぜかということだろう。それはだな、まじめ派の勢いがまだまだ弱いからだ。世の中の多くは地道にコツコツと努力している人たちだが、えてしてそのような人々はだね、消極的まじめ派なのだな。別の言い方をすれば、まじめを選んだのではなく、ふまじめを選べなかった結果としての、いわば消去法的態度なのだよ。だってこれしかないじゃないか、ってところだね」

問う人「ホントはふまじめに生きたかった、ってことでしょうか」

知る人「ああ、ふまじめというのは不適切な表現だったかな。一か八かの賭けに出ろ、とか、起伏の激しい大冒険的人生を選択せよ、などと言っているのでもない。そうではなく、積極的まじめさ、というか、黙々と働いていればいつか認められるといった地味路線からの転換だね。自分はこんなにまじめなのだ、世の中はまじめ人間の献身的貢献で成立しているのだ、私たちまじめ派が大同団結すれば、少数の富裕層など吹き飛ばすほどの勢力になり得るのだという強力なアピールだよ。まじめ派はこの国のどこにでもいる、ほらそこにも、あそこにも、あなたの隣人だってそうなのだよ、早くそれに気付きなさい、と言う具合に、寡黙だったまじめ派が発言力を見につけることによって、為政者たちも侮れない勢力に成長するだろう。無名人が終結すれば、有名人などひとたまりもないのだ。まじめな庶民こそ、黙っていてはいかんのだよ、わかるかね」

問う人「つまりですね、まじめであることを外に向けてアピールせよと」

知る人「そう。これはインターネット時代だからこそ可能なワザだろうな。いつの時代にも黙々と働く庶民はたくさんいた。しかし、全国に分散していたがため、結集できなかったのだ。今はそれができる。これこそが民主主義だ。市民革命を経験していない我が国にも、ようやくその機会が訪れたのだね。この機を活用しない手はあるまい。楽天をみよ、アマゾンをみよ。成功企業はみな時流に乗っている。われら庶民もしかり。無名人が結集して一大勢力となり得るこの時流に乗らねばならぬ。のんびり構えている場合ではないぞ」

問う人「ではまず、何から始めればいいのでしょうか」

知る人「生活だよ。とにかくまじめに生きるのだ。そして我が身を振り返り、何の変哲もない人生であることをあらためて確認したら、そんな当たり前の暮らしを何より幸せに感じ、その次に、平穏な日常の邪魔をしようとしているのは誰なのかを突き止めることだ。日常を乱すヤツらへの憤りこそ、次の時代を創る原動力となるだろう。その後は、自分に合ったやり方で情報発信して、自らの存在を天下に示し、賛同者と連帯するのだ。一朝一夕ではできぬが、必ず有意義な時間へと繋がっていくに違いない」

問う人「やってみます」

(了)

1654字。50分。

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