言葉を慎め、政治家たち。

【参院選が終わりました。ああ、やっと終わった、っていうのが素直な気持ちです。とにかく候補者たちの言葉の汚いこと。まともに聞いてられませんでした。政見放送にも、ひどいものがありましたよ。これがこの国の実態か、と思うと、あまりにも悲しくて、涙も出ませんでした】

 

 

知る人「政見放送はひどかったね。とくにNHK党だ。下品な党首が、画面を指さして『おまえら』ときた。言論の自由と野放図な暴言が、まったく同じ意味になってしまった」

問う人「これから有権者になってゆく子供たちに、とても見せられませんよ、あんなの」

知る人「そうだな。自民の惨敗後、石破総理への誹謗中傷や暴言・放言の数々には、ほとほと恐れ入ったというのが正直なところだな。路上の喧嘩と同じ感覚で、国政に対する発言をしている。わが国の民度の低さについて時々聞かれるが、このたびほどそれを痛感したことはなかったね。病気というより、<狂気>と言った方が適切だろうな」

問う人「主義主張の違いはおおいにけっこうですよ。せいぜい議論してほしいと思うんです。でも、それよりはるか以前の問題として、言葉が汚すぎる。相手への敬意も何もない」

知る人「なかでも酷かったのは、百田尚樹とその子分どもだ。他候補を侮蔑するのが選挙演説だ、とでも言わんばかりの、とにかく言いたい放題だった。聴衆に対しても、大阪の女性云々という阿保丸出しの放言があったしね。君が言う通り、主張すべきはおおいにやってほしいのだがね、なんせあまりに言葉が不適切に過ぎるのだな。あそこまで醜悪な言語を聞かされると、彼らの公約に耳を傾けようという気が起きないのだよ。今回の参院選をひと言で表すならば、

日本の恥

…これがもっとも正確な表現だろうな」

問う人「とにかく酷すぎて、争点が何だったか、すぐに思い浮かばないんですよ」

知る人「多くの党が、外国人問題を掲げたね。まあ、今回大躍進した参政党に影響された感はおおいにあるがね、異民族の話が多かった。危険な傾向だな」

問う人「なんだか、関東大震災の直後を思わせますよね。朝鮮人の虐殺がありましたでしょう」

知る人「あれもこれも、同じ日本人だからな。確かに、例えば落選してしまった世良公則氏も言うように、外国人や外国資本による土地取得には、背筋に寒いものを感じるのは素直なところだよ。北海道の基地周辺を中国人が買い占めている、という極めて重要な事実を暴露したのは、産経新聞だったな、確か。変に熱くならず、たんねんに取材した良心的な記事だった。だがね、選挙でみんなが騒ぎ出すと、すべての外国人が白い目で見られることになる。もちろん、わが民族の欧米崇拝は根強いからな、偏見の対象のほとんどが有色人種だ。そう、私たちと同じ有色人種だよ。やり玉に挙がったひとつがクルド人だったが、彼らなど、少数派もいいところだ」

問う人「少数派をいじめるというのは、多数派の優越感を助長して、本来見るべきものを見えなくしてしまうことだと思うんですよね」

知る人「いかにも。だが、残念ながらこれは世界的傾向だ。米国トランプ政権の影響を受けているのは間違いない。言ってみればわが国の ”ご主人様” である米国が、あそこまで派手にやれば、日本国内にくすぶるトランプ氏の亜流どもは、さぞかし勢いを得たことだろうな」

問う人「民主主義とは相いれないでしょう、どう考えても」

知る人「その通り。こまかい分析はやめておくが、今回の参院選によって、わが国の民主主義がさらに後退したのは確かだ。外国人問題は、多数派の論理などときれいな言葉で言うほどのものではない。弱い者いじめであり、欲求不満のはけ口に過ぎぬ。正当な主張であれば、熱狂ではなく議論を産むはずなのだ。みなが熱くなるというのは、その陰に何かを押し込み、手近なところで間に合わせつつ喫緊の課題を先送りしていることのあらわれなのだよ。残念ながら、わが日本はますます危険な方向に進みつつある」

(了)1618字

 

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