今やるべきことは何か。

【中国の野望が周辺国を露骨に侵食しようとしていますね。日本ももちろん例外ではありません。ところが我が国はと言えば、中国寄りの姿勢を転換できず、右往左往しているようです。いったい日本はなぜ躊躇しているのでしょう。危機的状況がわからないのでしょうか】

 

 

知る人「君の言うことは理解できるが、いくつか間違っている。我が国は、少なくとも我が政府は、躊躇も右往左往もしておらぬ。財界もそう。中国への依存度の高さを思えば、仲良くする以外に道はない。実利をとらねばならぬ。国民生活のレベルが下がれば、次の選挙で負ける。まあ、なんだかんだ言っても、世界大戦になるほどの危機は来ないに決まっている。とにかく隣人を怒らせるな・・・というのが政権与党の本音だろうな。だからつねに『誠に遺憾』などといった魂のない逃げ言葉で抵抗の姿勢を示すだけで、侮辱的挑発行為に対しても静観を決め込むのだよ」

問う人「なるほど。しかし、いつまで中国の好き勝手を許すのでしょうね」

知る人「今の政治家は皆サラリーマンだ。自分が権力を握っている間に問題を起こしたくない。戦後の我が国は、難題を次世代に引き継がせるという無責任な態度を一貫して続けてきた。政治だけではない、ほとんどすべての分野でそうだ。政権与党にとって、大事なのは政権維持であり、自分たちの安楽椅子の使用期限を極力先延ばしすることなのだな。二千数百年もかけて築きあげられた国家の屋台骨がどんなに揺らごうとも、自分たちが安泰ならそれでいいのだろう」

問う人「ということはですね、日中関係は、ますます従属的と言うか、中華帝国礼賛の方向に行くと」

知る人「そうなるだろうな」

問う人「何とかなりませんか」

知る人「当面は無理だな。唯一の希望の光といえば、米国の対中政策であろう。ポンペオ長官の演説以来、欧州も米に歩調を合わせつつある。かつての米ソ対立から、米中対立の時代へと移るだろう。だが、親中国のロシアにしても、中国の優位は容認できぬ。あくまで露中は対等だからな。となれば、米中対立に親中ロシアが微妙な距離を保ちつつ、米ソ時代以上におかしな均衡の構図が現れるであろう」

問う人「そこへ日本が加わる、と」

知る人「そう。だが、無定見な現日本では、アメリカの付属物的立場がせいぜいで、おそらくろくに意見も言えぬであろうし、また言わせてもらえぬであろうな。一国平和主義を維持し続ける根拠となった憲法九条は、その実、経済市場主義を死守する道具に使われている。平和が乱れれば、安定成長が見込めぬ。安楽な暮らしだけを追い求めた戦後元禄のツケが、目も当てられぬほど巨額になって戻ってきたのだ。もう今の政府では対処し切れぬ」

問う人「この状況に対して、知識人やら何やら、いろんな人たちが発言していますね」

知る人「言わせておくがよかろう。彼らの中には真の愛国派、憂国派もいるだろうが、日々忙しいなか、それらを選り分けるのは大変だ。無視するのが得策だな。こんなときは、いわゆる ”専門家” と称する輩が勢いづくものだ。エセ国士も跋扈しておる。その反面、すっかり飼い慣らされたおおかたの庶民は、毎日が楽しければ、腹一杯食えれば、朝からゲームに興じることができればそれでいいのだからな、世論に対して賛意も反意も示さず、ただ傍観しているだけだ。今や我が国は、上から下までまんべんなく腐っているという他あるまい」

問う人「現状を打開するには、何をすればいいでしょうか」

知る人「おのれの役割を知ることだ。これしかない。世界の中の日本、その中の自分だな、これが一つ。それから、日本の近現代史の流れを丹念に読みなおし、今、21世紀前半の時代に何をするべきか、自分の歴史的な役割を考え、自分なりに決めて行動する。この先、薔薇色の未来が待ち受けていないということは、誰の目にも明らかだ。現実を直視し、幕末から戦後75年の今に至るまで、私たちは何を失ったか。どこで、何を、どう間違えたのか。これを、歴史家などの専門家に委ねるのではなく、彼らの知識も拝借しつつ、自分で掴むのだよ。よいか、戦後日本はいびつな歴史を積み上げてきたのだ。教育だよ。戦後の教育が間違っていた。だから無定見な刹那主義者が国民の大半を占めるようになったのだ。自ら求めよ、真理を。文科省教育に頼るな。中国にも韓国にもロシアにも、文句ひとつ言えぬ今の姿勢を正すには、歴史の流れの中にある、国家的誤判断の要所を衝かねばならぬのだ。今こそ学べ。休日も昼まで寝ていないで、勉強するのだ。中国の奴隷になりたくなければな」

(了)

1868字。

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です